家を買ったら考えること~遺言書作成のススメ①
2021.03.29
withコロナと家
昨年は年明けからコロナ一色となった一年であり、みなさんも多くの時間をご自宅で過ごしたことでしょう。
withコロナ、afterコロナの働き方としてテレワークを組み込んだ勤務形態をとる企業が増えていること、また、学校のオンライン授業も進んでいることなどから、同じ屋根の下、親は仕事、子どもは授業を受けているということもあると思います。
そんな中、都心や郊外で部屋数の多い広い住宅を求める動きが強まっているようです。今後も在宅勤務が継続され会社への通勤頻度が低くなるにつれ、ずっと賃貸暮らしでいいと思っていた人たちが、郊外の庭付き戸建て住宅を購入する、ということが増えていくと考えられます。
自宅の購入と相続
このように、マンションや戸建などのご自宅を購入した方は、ここでちょっと考えてみましょう。次に該当する方は、相続に関して注意が必要です。
①未成年のお子様がいる
②お子様がいない
万が一、名義の方が事故なり病気なりで亡くなった場合には、所有権を相続登記によって移さなければいけません。また、銀行口座も凍結してしまうので、相続手続きをしなければいけません。
子どもが小さかったり、いないのなら、配偶者が引き継げばいいんじゃないの?と思いますよね。
配偶者が全て相続できない?
配偶者のみが不動産や預貯金を引き継ぐ場合、遺言書がなければ、法定相続人が法律で決められられた割合で相続することになります。
もしくは、残された配偶者のみが引き継ぐ場合には、遺産分割協議書を作成し、共同相続人全員がそれぞれ署名・押印しなければいけません。
夫もしくは妻だけが遺言書なくして相続することはできないのです。
前置きが長くなりましたが、若いご夫婦であっても自宅の購入を機に、遺言書を作成することをおすすめします。
遺言書と聞くと、「お金持ちの人が遺産争続にならないために書くものでしょ」というイメージがありますが、むしろ小さいお子様のいるご夫婦やお子様のいないご夫婦の相続手続きの手間を省くためにご活用いただきたいと考えております。
以下、遺言書がなかった場合の問題点をあげます。
①未成年のお子様がいる場合
まずここで注意しなければならないのは、未成年は単独で遺産を分ける話し合いをすることができないということです。
未成年とは、0歳から20歳未満の人(2022年4月以降は18歳未満)のことです。
親は代理できない?
未成年者が相続人になる場合には、法定代理人(通常は親)が代理で進めることになりますが、親も同時に相続人である場合には、
未成年の子どもの代理人にはなれません。利益が相反する可能性があるので、家裁に特別代理人の選任を請求する必要があります。
利益が相反するとは、未成年の親権者である父または母とその子どもとの間とでは、親の利益になることは、未成年者にとっては不利益になる行為となってしまう、ということです。
親の取得分を増やせば、子どもの取得分が減り、子どもの取得分が増えれば親の分が減るという利害が対立している状態のことをいいます。
(離婚をしている場合には、子の法定代理人として代理できます)
特別代理人の選任
そのため、子どもの住所地の家庭裁判所に選任の申立をします。
子どもが複数人いるときには、それぞれ特別代理人を選任します。
申立人は親権者もしくは、利害関係人です。特別代理人は、家庭裁判所の審判で決められた行為について代理し、この決められた行為が終了したときに任務は終了します。
家庭裁判所とのやり取り、特別代理人とのやり取りが大変なのはもちろんですが、何より、遺産分割協議をした場合、特別代理人は基本的には未成年者の子の法定相続分くらいの財産を確保するように家庭裁判所から指導されるようなのです。
それは未成年者の不利益になるような遺産分割協議をすることはできないからです。
夫または妻だけを自宅の名義にすることができませんので、売却をお考えの場合でもまた手間と時間がかかることになります。
(文責:高橋)
自宅を買ったら考えること②へ続く