家を買ったら考えること~遺言書作成のススメ②
2021.04.12
前回の続きをお届けします。
②お子様がいない場合
お子様がおらず配偶者のみの場合、財産は夫もしくは妻のものになるんじゃないの? と思いがちですが、法律的にはそういう訳にはいきません。相続人の範囲と順位は民法で厳密に定められています。
配偶者亡き後の相続人とは?
配偶者の親が生きている場合には、親も相続人になり、親は亡くなっているけれど、祖父母は生きている、といった場合には、おじいちゃんやおばあちゃんも相続人になります。兄弟姉妹相続の場合、兄弟姉妹が亡くなっている場合には代襲相続が発生するので、相続人が会ったこともないような被相続人の甥・姪にまで至ることもあります。
以前、配偶者が幼い頃に養子縁組されており、実親・養親(祖父母も)ともに亡くなっていたため、第3順位の双方の兄弟姉妹が相続人になり、さらに兄弟姉妹も亡くなっていて甥・姪が相続人になっていたことがありました。
相続人の順位や法定相続分につきましては、神楽坂法務合同事務所HPの遺産相続のページに詳しく書いてありますので、ご参照ください。
兄弟姉妹相続の手続きは大変です
とかく複雑で広範囲になりがちな兄弟姉妹相続ですので、残された配偶者が一人で戸籍を追って連絡を取って、協議書を作成して、それぞれの実印と印鑑証明書をもらって…ということを仕事をしながら行うのは至難の業です。
しかも、その中に行方不明者がいた場合には、いつになったら自宅が自分のものになるのかわかったものではありません。しかし、ここまでしないと自宅の名義も変えられないですし、預貯金の解約もできないのです。
配偶者に全て相続させたい場合は遺言書を!
配偶者にすべてを相続させて問題がない場合には、その旨の遺言書を残していればそうした面倒は起こりません。年初、誕生日などを機に遺言書を作成・更新するとよいでしょう。ご夫婦でお互いに作成し、わかるところに保管しておけば、いざというときに役に立つと思います。
公正役場で作成する遺言公正証書は、裁判所の検認が不要というメリットがあります。子どもが成人するまできちんとしたものを残しておきたいのであれば、公正証書にて作成することをお勧めします。
ただし、作成に費用がかかりますので、書き直したい場合にはまた費用がかかることになります。まずは自筆でもいいかと思いますが、前回のコラムにもある通り、決められた記載でない場合、せっかくの遺言書も無効になってしまう可能性がありますので(相続人の1人に不動産を「譲る」と記載された自筆証書遺言 参照)よくよく注意が必要です。
遺言書は専門家にお任せください
正直なところ、自筆証書遺言は、大小の差こそあれ、間違いや勘違いをされているケースが非常に多いです。スムーズな相続手続きができるためにも、専門家にチェックしてほしいということであれば、是非一度ご相談ください。
(文責 高橋)