遺言+④遺言執行者の選任申し立て(遺言書が無効の場合)
2017.11.02
遺言執行者の選任申し立てがされた場合、一見して遺言の無効が明らかではない限り、家庭裁判所において遺言執行者が選任されます。
◇遺言執行者の指定又は選任と遺言の有効性
遺言が形式的要件を欠いている等、遺言が無効となる場合でも、遺言執行者が指定されていたり、家庭裁判所において選任されていることがあります。しかし、遺言自体が無効である場合には、そもそも執行する遺言自体が存在しないため、遺言執行者の指定又は選任についても無効となります。
◇実務上の取り扱い
家庭裁判所において、遺言執行者の選任申し立てがあった場合に、審判の手続き中で遺言の効力等を判断せずに、原則としては遺言執行者を選任する取り扱いが多いようです。
逆に言えば、遺言執行者の選任申し立てが認められたからといって、その遺言が有効と判断されたわけではなく、遺言事項について執行が必要と認められたわけでもありません。
したがって、遺言の無効が疑われるような場合、遺言執行者の判断によって、執行すべきかあるいは執行不能であるとして任務を終了するか判断する必要があります。