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おひとりさまがペットのためにできること

2017.05.02

おひとりさまがペットを飼っている場合、なんの準備もせずに亡くなってしまったら…。引き取り手が見つからないペットは保健所で殺処分されることになります。自分の死後、家族の一員としてかわいがっていたペットがその生涯を終えるまで安心して過ごせるようにするにはどうしたらよいでしょうか?

残されたペットのために、遺言を残すことができます。遺言を残す、といってもペット自身が相続や遺言にて財産を受け取るわけではありません。人や法人以外の者が財産を所有するということは法律で認められておりませんので、「物」として扱われるペット(動物)は財産を受け取ることができないのです。しかしながら、遺言書によって、実質的にペットに財産を残してあげることができるのです。

 

1.負担付遺贈

預金の遺贈と共にペットの世話を依頼する

ペットの遺贈と共に預金の遺贈をおこなうことにより、ペットの世話を誠実に行い、埋葬することを負担(義務化)とします。例えば、「Aさんに私の財産○○円を遺します。ただし、遺贈を受ける負担として、愛犬△△の世話を最後までしなければならない」というような文言を遺言に残します。財産をあげる見返りにペットの世話をしなければならない義務を負担してもらうのです。

ただし、この場合、受遺者の意思で自由にこれを拒むことができるのです。受遺者が遺贈を受けなければ、愛犬の遺贈・世話・埋葬などの実現されなくなりますので、事前にしっかりと相談をしたうえで合意を取り付けておく必要があります。

 

2.負担付死因贈与契約・生前贈与

贈与する人と、贈与を受ける人との合意内容を契約でかわす

贈与する方の意向を贈与を受ける方は合意しているとみなされますので、、贈与した方が亡くなった後、その意向を放棄することができません。一方的に行う遺言よりも、より確実に負担部分を実現することが期待できます。ただし、本当に面倒を見てもらえるかどうかはわかりません。

「死因贈与」と「生前贈与」の違いですが、死因贈与は贈与者が死亡することで効力が発生します。「私が亡くなったら、ペットのお世話をお願いします」というのが死因贈与になります。生前贈与は、生前に財産を贈与することをいいますので、体調を崩してしまったり、施設に入居したりするなどの理由で、ペットと一緒にいられなくなった場合の選択肢となります。

 

3.遺言執行者を定めておく

遺言執行者とは、遺言書に書かれた事項を実現するための権限を持った人です。遺言執行者を選任・指名しておけば、遺言書通りにペットを引き取ってもらったり、面倒を見てもらったりしているかを自分に代わってチェックしてもらうことができます。

 

4.ペット信託

ペット信託は 信託法に基づいされる手続きです。

「信託」とは、「Aさんが自分の財産を信頼できるBさんに譲渡、BさんはAさんから譲り受けた財産を運用し、それによって得られた利益をCさんに与える」という契約をAさんとBさんが結ぶことを指します。Aさんを委託者、Bさんを受託者、Cさんを受益者といいます。

まず、飼い主(委託者)を代表にした管理会社(受託者)を設立します。そして飼い主の死後にペットに残しておきたい財産を事前に管理会社に移しておきます。そして、次の飼い主を受益者とする遺言書と「ペットの飼育のために」と記した信託契約書を受益者と締結。遺産を飼育費として相続してもらうことになります。

相続された飼育費が適切に使われているか監督する制度もあり、司法書士などの監督人がペットの飼育状況をチェックします。相続財産の乱用を防ぐため一度に相続させず、分割することも可能です。

高齢になってきた場合、どちらが先に亡くなるかわかりません。一度飼い始めたペットは一生面倒をみるのが、飼い主の義務でもあります。自分の死後ではどうすることもできないので、生前にきちんと遺志を残しておくことが、かわいいペットたちを最後までお世話することにつながっていくことでしょう。