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遺言[⑩]負担付遺贈とは

2017.05.08

「千代田区飯田橋~の自宅不動産は長男Aに遺贈する。ただし、長男Aは私の配偶者であるCが存命する限りその扶養をしなければならない」というように、受遺者(財産を受け取る人)に一定の法律上の義務を負担させる遺贈を負担付遺贈といいます。

 

義務は、ペットの世話、老親の介護、子供の養育、庭の管理、葬儀費用の負担等多岐にわたります。婚姻や離婚等の身分行為について定めることは出来ません。また、無駄遣いをしないこと等の道徳的な教訓を定めても法律的な効力はありません。

 

負担付遺贈を受けた受遺者は、遺贈された目的の価値を超えない範囲においてのみ負担した義務を履行する義務を負うことになります。よって贈るものと負担のバランスが重要です。

負担を履行しない場合、相続人は相当の期間を定めて受遺者に対し催告することができます。期間内に履行がない場合は裁判所に遺贈の取り消しを請求できるとする取り扱いが多数派です。

 

実際に負担付遺贈をする場合、履行を確実にするため、遺言執行者を付けることをおすすめします。履行が長期間になる場合、遺贈ではなく信託を検討することも有効です。