[遺言]①そもそも遺言書とは
2017.04.19
前書き
まず、遺言書とは、死が目前に迫ったときに作成するものだと思っていませんか?
あるいは、自分には必要のないものだとは思っていませんか?
遺言書とは、ドラマや映画に出てくるような、莫大な資産を持ち、仲の悪い家族達に囲まれた、孤独な老資産家にしか必要のないものではありません。
ごく普通の人にとっても必要とされるものです。
人は生前、自分の意志で自由に財産を処分できます。
しかし、万が一のことがあった場合、遺族は故人の意思を確かめることが出来ません。
故人の意思を最大限尊重したくとも、その意思を確認するすべが無ければどうしようもありません。
そのときに“遺言書”という、形になったものが遺されていたなら、遺された家族は故人の意思を確認することができ、その内容に沿った形での財産の分配が可能になります。
遺言書を作成することによって、遺された家族達に無用の心配をかけることが避けられます。
生前に遺言書を作成しておくことは、決して“自分には全然関係のないこと”でも、“縁起でもないこと”でもありません。
遺される家族のための思いやりとして、そして安心を贈るために、遺言書を作成しておくことをおすすめします。
遺言とは
遺言(いごんまたはゆいごん)とは、遺言を作る人(遺言者)が、自分の死後の法律関係(財産、身分など)を、一定の方式に従って定める、最終的な意志表示のことです。
わかりやすく言うと、自分が死んだ時に、「財産を誰々に遺す」とか、「実は隠し子がいた」とかいったことを、死ぬ前に書いて遺しておくことです。
注意しなければならないのは、遺言の方式は法律で定められているので、それに違反する遺言は無効になってしまうということです。
遺言は死ぬ前であれば、いつでも本人の意志で自由に変更(撤回)することができます。
もちろん変更(撤回)するときも、法律上の決まりを守らなければいけません。
遺言で定めることが出来る内容も法律で決まっていますので、それ以外の事柄について定めても何の効力もありません。
なぜ遺言が必要なのか
遺言とは、「人の最終意思に、死後の法的効果を認めて、その実現を保証する制度」です。
家庭裁判所に持ち込まれる相続争いの多くは、正式な遺言書がないためだといわれています。
長きにわたり一生懸命働いて築いた財産をめぐって、遺された肉親同士が遺産争いを繰り広げるようでは天国にいる故人もやりきれないものでしょう。
子孫の幸福のためになるべき遺産が、骨肉の争いを引き起こし、不幸の原因になってはたまりません。
財産のある人は、生前に自分の財産の状況とその分配方法等を定めた遺言を作成するべきです。
遺言は、遺産をめぐるトラブルを防ぐ最善の方法であるとともに、遺産を遺された家族のために生かす出発点でもあります。
また、遺すのは借金だけだという場合でも、遺された家族が法的な手続(相続放棄)により借金の返済義務を負わなくてすむよう、その内容を遺言というかたちで書き遺しておきたいものです。