孤独死を不安に思わないために
2017.04.17
「孤独死」といわれる、誰にも看取られることなく息を引きとり、その後相当期間放置される人はどのくらいいるのでしょうか?白骨化された遺体が発見されない限り、ニュースなどにも取り上げられないので、そうそういないのではないかと思いがちですが、下の表を見る限り、決して少なくないことがわかります。
これは、独)都市再生機構が運営管理する賃貸住宅約76万戸において、単身の居住者で死亡から相当期間経過後(1週間を超えて)に発見された件数(自殺や他殺などを除く)ですが、平成23(2011)年度に200件、65歳以上に限ると131件となっています。
単身居住者で死亡から相当期間経過後に発見された件数
65歳以上 | 65歳未満 | |
平成20年 | 89 | 65 |
平成21年 | 112 | 57 |
平成22年 | 132 | 52 |
平成23年 | 131 | 69 |
※(独)都市再生機構が運営管理する賃貸住宅で、「団地内で発生した死亡事故のうち、病死又は変死の一態様で、死亡時に単身居住している賃借
また、同じく内閣府の高齢社会白書によると、孤独死を身近な問題だと感じる(「とても感じる」と「まあ感じる」の合計)人の割合は、60歳以上の高齢者全体で2割に満たなかったのですが、単身世帯では4割を超えています。一人暮らしの高齢者の半分弱が孤独死を不安に感じている姿が浮かび上がってきます。
孤独死*を身近な問題と感じるものの割合
とても感じる | まあ感じる | あまり感じない | まったく感じない | わからない | |
総数 (n=1,631) |
4.2 | 13.1 | 35.6 | 44.5 | 2.6 |
夫婦二人世帯 (n=646) |
3.3 | 11.3 | 38.4 | 44.6 | 2.5 |
単身世帯 (n=198) |
14.6 | 30.8 | 27.8 | 22.7 | 4 |
それ以外 (n=787) |
2.4 | 10 | 35.2 | 49.9 | 2.4 |
資料:内閣府「高齢者の健康に関する意識調査」(平成24年)
(注)対象は、全国60歳以上の男女
*本調査における「孤独死」の定義は「誰にも看取られることなく亡くなったあとに発見される死」
「孤独死」は高齢者人口の増加とともに増える傾向にあり、高齢者で単身世帯の半数は孤独死を身近な問題ととらえ、不安に感じてるようです。
では、孤独死を防ぐためにできる対策とはなんでしょうか?
ある新聞のアンケート調査によると「孤独死を防ぐためにほしいもの」の1位は「見守り・安否確認サービス」でした。友達が少なく、親族とも疎遠にしていて、持病があり健康に不安がある方は、いつ倒れてしまい、気づかれずに亡くなってしまうか予測できないので、見守りサービスの必要性を感じているのでしょう。
アンケートの結果は以下の通り。
1位 見守り・安否確認サービス
2位 頼れる身近な人
3位 健康・医療機関サービス
4位 家事・介護サポーター
5位 地域のつながり
6位 行政の対応の情報
(朝日新聞2017年1月28日土曜日版)
アンケートでは、孤独死は構わないが、発見が遅れたり、死後の後始末を不安に思う人が少なくないという意見も掲載されていました。発見が遅れてしまうことや死後の後始末の問題さえクリアになれば、死の瞬間に一人でいることに問題はないと考えているようです。
その不安を持たないためにも、発見が遅れないよう見守りサービスを充実させたり、死後事務委任契約を結んで、死後の手続きについて対策をすることが肝要です。
死後事務委任契約とは、お亡くなりになった後の事務的な手続きを行うことを約束する契約です。亡くなった後の事務を委任したい人(委任者)が第三者(受任者)との間で、亡くなった後の諸手続きについての代理権を与えて、死後の事務を委任する契約のことをいいます。
どんな手続きについて決めるのかというと、例えば、通夜・告別式はどうするのか、菩提寺や墓石の選定はどうするのか、住んでいる飼っているペットの譲り先はどうするのか、関係者へのお知らせはどうするか等々です。
その他、行政への諸届事務、住民税や固定資産税の支払い、老人ホームや賃貸住宅の施設の解約、勤務先の退職に関する手続き、運転免許証やパスポートの返納、インターネットや携帯電話などの解約など、死後に行われる事務は多岐にわたっています。
漠然と不安を抱きながら過ごすより、まずは死後にどんな手続きがあるのかを知ることが大切です。死後のありかたを専門家と話しあい、きちんと決めておくことで、死後への不安が取り除かれることでしょう。