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死後事務をスムーズにおこなうために

2021.04.26

前書き

死亡後に必要な手続きは通常、すべて残された親族が行うことが前提となっておりますので、頼れる親族がいないおひとりさまにとって大きな問題となっていることと思います。遺言書ではそのような死後の手続きについて法的な効力をもたせることができません。そこで、死亡後のさまざまな続きをしてくれる代理人を契約によって決めておくのが死後事務委任です。

死後事務委任と死亡届

死後事務委任契約のご依頼を受けるときによく委任される行政手続きのうち、死亡届の提出というものがあります。一見、ご臨終に立ち会った人ならだれでも提出できそうな気がしますが、実は戸籍法に届け出られる人が定められており、定められた人以外は受理してもらえません。死亡届が受理されないということは、火葬許可証も埋葬許可書ももらえないのです。

死亡届が提出できるのは、①同居の親族、②その他の同居者、③家主、地主または家屋もしくは土地の管理人、④同居の親族以外の親族、⑤後見人、保佐人、補助人、任意後見人及び任意後見受任者と定められています。これらの人がいない場合には、「公設所の長」として公的機関の責任者が届出人となります。この届出人に定められていない第三者が死後事務委任契約によって死亡届を提出するためには、任意後見契約の受任者になっている必要があります。ご親族と不仲でご協力いただけない、もしくはご協力いただきたくない場合には、死後事務委任契約の受任者と任意後見契約を結んでおくとよいでしょう。

任意後見契約を結びましょう

ご依頼いただく方の中には、どうしても残された親族に一切知らせたくないという方がいらっしゃいます。そのようなご希望のある方の死亡届を出す権限がない場合、自宅(持ち家の)などで亡くなられ、任意後見人もいないとしたら、無理やり親族を探し出して記入してもらうこととなり、知らせたくない親族に知れてしまうということにもなりかねません。そういったご事情のある方は、任意後見契約を一緒に契約することをおすすめします。

希望通りの葬儀を行うために

また、自分の葬儀やお墓について自分の思い描くようにしたいというご希望のある方が、生前にお墓の契約や葬儀などを決めていたとしても、それが残された親族の意に添わず、覆されてしまうということもあるようです。亡くなった後に自分の思い描いた通りの葬儀や埋葬をご希望される場合、死後事務委任契約で信頼できる受任者にお願いすることとなりますが、その時には公正証書の中に本人の祭祀を主宰する者の指定を受けておくと親族でない私共がご本人の火葬や納骨がスムーズにできるようになります。家族が全くいなくても祭祀主催者の指定を受けておくことによって私共が喪主の形となって死後事務を執り行えるのです。

さいごに

今までなんでもひとりで決断し、頑張ってきたおひとりさまには、自己決定・自分の意思を死後も貫いていただきたいと思っています。お亡くなりになった後を残された親族に頼ることなく思い描いた最後にするために、死後事務委任契約を結ぶ場合、以上のことを考慮に入れて検討するといいと思います。

(高橋)