内縁関係の相手に財産を残すための遺言書の記載方法について
2019.07.09
メールで、遺言書添削についてお問い合わせをいただきました。
『遺言書の必要性を感じ作成いたしました、
内縁関係の妻に相続財産を残すための遺言書を記載方法について教えてください。』
内縁関係とは、婚姻はしていないが、法律上の夫婦と同様の生活を
行っている男女関係のことを指し、戸籍上は無関係な間柄です。
そのため、相続人になることは出来ません。
もし戸籍上の無関係な相手に相続財産を残したい場合は、予め
遺言書を残しておくことが必要です。
遺言の記載方法アドバイス
ポイントは3点あります。
1点目は、『相続』と『遺贈』を正しく使い分けましょう。
遺言者が相続人に当てた遺言書のケースでは、『相続』という単語が
一般的です。ただし、今回のケースのように、財産を残したい相手が
相続人ではない場合、『遺贈』という文言を使用する必要があります。
2点目、遺言執行者の指定を行ったほうがいいでしょう。
遺言執行者とは、遺言書の内容を実現させるための相続手続等を行う人物です。
司法書士等の専門家に頼むことも出来ますし、遺産をもらう人が遺言執行者に
なることも出来ます。
遺言執行者は必ずしも指定する必要はありません。指定しなかった場合、
銀行解約等の相続手続きを行う際、相続人全員の署名・実印の押印や、
委任状の取得等、大変お手間のかかる相続手続きになってしまいます。
よりスムーズなお手続きのためにも、遺言執行者を指定することをお勧めします。
最後に3点目、保管方法や場所を決めて、その情報を財産の遺贈を行う方へ
共有しておきましょう。保管方法に決まりもないため、司法書士等の専門家
に預けるま、もしくは財産を譲る相手に渡しておくなど、事前に準備しましょう。
ただ保管方法について令和2年7月10日、法務局にて自筆証書遺言書の保管を
してもうことができる、『遺言書保管法』の制度を新たに設けることが予定され
ています。
デメリットとして相続人自らが法務局で遺言書を検索してもらわなくてはいけ
ないという点があるため、遺言者は亡くなる前に相続人に法務局に遺言書が
あることを事前に伝えましょう。この方法によって相続人が意図的に遺言書を
破棄したり、または遺品の整理などで誤って破棄してしまうことを防ぐことができ、
亡くなった後にきちんと被相続人の意思を伝えることができます。
今回の法改正(※1)、また新たな制度が設けられることにより、
遺言書の作成がとても身近に感じられるようになりました。
亡くなったときの紛争を失くすためにも、是非1度遺言書の作成を
考えてみるのはいかがでしょうか。
※1.法改正の記事については、
神楽坂法務合同事務所コラム2018年12月25日
『民法改正で自筆証書遺言がより利用しやすく』
をご参照ください。