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[遺言]⑨清算型遺贈とは

2017.05.01

 

清算型遺贈とは、遺言者の財産を処分して、借金を返した残りを遺贈するものです。

実際の遺言にすると文言はこのような形になります。

 

例 第〇条 遺言者は、その有する全財産を処分し、その代価をもって、遺言者の全債務、登記費用その他本条項を執行するに必要な費用を弁済し、その残金を遺言者の甥であるA(平成〇年〇月〇日生)に遺贈する。

 

単純に、ある特定の財産を処分して、お金を分配する遺言とは、債務を弁済するところが違います。

 

例 第〇条 遺言者は、その所有する下記の土地及び建物を処分し、その代金をもって登記費用その他本条項を執行するに必要な一切の費用を控除した残金を、遺言者の甥であるA(平成〇年〇月〇日生)及び姪であるB(平成〇年〇月〇日生)に、各2分の1の割合により遺贈する。

 

上記2つの条項は、財産を処分し、残りを分配するという点において共通しています。

なぜ財産をそのまま渡さず、処分し、お金にしてから渡すのでしょうか。

1 不動産など分けにくいものを残すことで争いになることを防ぐため。

2 賃貸アパートなど管理の手間があるものを残さないため。

等々理由はいろいろと考えられます。

 

 

注意点

 

清算型遺贈は、財産を処分し、債務を弁済する必要があることから、遺贈義務者(相続人)に相応の負担があります。そのため、専門家を遺言執行者として指定しておくことが肝要です。

また、相続財産の内に不動産がある場合、不動産を処分し、不動産登記をするためには亡くなられた遺言者から買主へ直接の移転登記が出来ないため、いったん相続人名義に相続登記をし、その後、相続人を登記義務者、買主を登記権利者として売買による所有権移転登記を申請する必要があります。

遺言執行者が指定されている場合には、遺言執行者が相続人の代わりに相続登記を申請し、売買の登記まで代理人としてすることが出来ます。