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[相続]④特別受益

2017.04.12

もし、亡くなった方が特定の相続人にのみ贈与をしていた場合、相続人間で不公平が生じます。

例えば、2人の娘がいる、4000万円の財産をもっている人がおり、亡くなる直前に妹に1000万円贈与したとします。

その後残り3000万円の財産をもって亡くなった場合、姉妹のそれぞれ相続する財産は1500万円づつとなりますが、妹が事前にもらった1000万円がなければ、2000万円づつ相続することになり、不公平になります。

そこで、民法では特別受益という制度を設けてこの不公平に対して一定の保護をしています(民法第903条)。

 

特別受益の対象となる贈与は、①遺贈、②婚姻もしくは養子縁組のため、③生計の資本として、行われたものになります。このような贈与が行われた場合は、たとえ無くなった場合でも、まだあるものと仮定して相続分を計算します。

上記の例でいえば、被相続人の財産が3000万円ですので、それに1000万円を追加した4000万円を全体の相続財産とします。その上で妹の法定相続分は2000万円となりますが、既に1000万円受け取っているので、実際に受け取れる相続財産は1000万円となります。

これが特別受益の考え方であり、既に受け取った分を各自の相続分から差し引く事を持戻しといいます。

 

具体的に、①遺贈、②婚姻もしくは養子縁組のため、③生計の資本としてされた贈与とは、どのようなものかというと、特別受益にあたるかどうかはっきりとした明確な基準は無く、本人たちの生活状況や資産状況などを考慮に入れて個別に判断されることになります。

例えば、学費などの援助の場合は、被相続人の資産・収入・社会的な地位等からして親として当然の扶養範囲相当であるか否かで決定するため、一般的な大学であれば可能性は低いが、医学部などの高額な学費の場合は特別受益となる可能性が高くなります。不動産については、生計の資本として判断される事がとても多くなります。