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夫婦たすき掛けの遺言について

2023.05.02

前書き

結婚して早50年、夫婦共白髪と申しますが、子供がいてもいなくても、夫婦で遺言書を書くことが増えています。
その場合、男性側だけが遺言を作成していることもありますが、女性側が先に亡くなることも考慮しておかないと取り返しのつかないことになることもあります。
そこで今回は夫妻ともに遺言書を作成する、いわゆる夫婦たすき掛けの遺言について解説します。

たすき掛けの遺言の実例

夫側

第1条 遺言者は,遺言者の有するすべての財産を妻 神楽坂明日菜(昭和20年4月29日生まれ)に相続させる。

第2条 遺言者は、妻 神楽坂明日菜が遺言者より以前に死亡した場合、遺言執行者が全ての相続財産の換価処分を行い、債務の支払いや葬儀費用等に必要な費用、遺言執行者への報酬を支払った後のすべての残額について、以下のものに遺贈する。

日本赤十字社東京都支部(所在:東京都新宿区大久保1丁目2番15号)

第3条 遺言者は、本遺言の遺言執行者として

本店:東京都新宿区神楽坂三丁目4番1号 神楽坂山本ビル4階
商号:株式会社遺言執行社
代表取締役:庄田和樹
を指定する。

 

妻側

第1条 遺言者は,遺言者の有するすべての財産を夫 神楽坂権六(昭和15年1月20日生まれ)に相続させる。

第2条 遺言者は、夫 神楽坂権六が遺言者より以前に死亡した場合、遺言執行者が全ての相続財産の換価処分を行い、債務の支払いや葬儀費用等に必要な費用、遺言執行者への報酬を支払った後のすべての残額について、以下のものに遺贈する。

日本赤十字社東京都支部(所在:東京都新宿区大久保1丁目2番15号)

第3条 遺言者は、本遺言の遺言執行者として

本店:東京都新宿区神楽坂三丁目4番1号  神楽坂山本ビル4階
商号:株式会社遺言執行社
代表取締役:庄田和樹
を指定する。

たすき掛けの遺言の意味

たすき掛けの遺言の実例を見ていただくと分かる通り、夫婦のどちらが先に亡くなっても大丈夫なように文言を入れています。
大抵のご夫婦では、平均寿命の関係で夫が先に亡くなりますし、相続税対策では夫が先に亡くなることを前提として対策をしています。
例えば夫から妻への生前贈与などがその最たるものです。
しかし、もし妻が先に亡くなった場合はその対策は全く意味がなくなります。コスト分無駄ともいえます。
相続税対策においてはそれは致し方ないことですが、遺言書においては、相続税対策とは違う考え方が必要です。

遺言書で妻に相続させるとしていて、妻が先に亡くなってしまうと遺言がその部分は無効になってしまい、法定相続分での相続になってしまいます。
お子さんがいらっしゃれば特段問題ないこともありますが、いない場合、兄弟姉妹相続か、あるいは国庫に帰属することになってしまいます。そういった事態を防ぐために夫婦たすき掛け遺言を作成する意味があるのです。

後書き

夫婦たすき掛け遺言を作成されるご夫婦は、とても仲が良く、遺言作成のお手伝いをさせていただく時は我々も気持ちよくお仕事をさせていただけます。こんな夫婦になりたいなと思うこともしばしばです(2023年現在私は独身です)。

お互いと家族のことを思えばこそ、夫婦たすき掛け遺言、検討されてみてはいかがでしょうか。

文責:庄田