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遺言公正証書の原本・正本・謄本

2022.08.08

遺言公正証書には3種類の書類があります

遺言に限らず公正証書には、同一の内容で原本、正本、謄本の3種類存在することは皆さんご存じでしょうか。
書いてある内容は同じなのですが、それぞれ効力が違いますので、どのような場面で使用されるのか見ていきましょう。

「原本」は公証役場で保管される

「原本」とはその名の通り、オリジナルの遺言書そのものです。原本には遺言者、公証人、立ち会った証人の署名・押印がなされ、作成した公証役場に保管されます。
オリジナルですが遺言者本人に渡されることはなく、公証役場から持ち出されることもありません。公正証書の保管期限は20年と決まっていますが、遺言書は遺言者が存命中は破棄されては困るので、もっと長い期間保存されることが多いです。

「正本」があれば手続きができる

「正本」は、原本を作成した際に公証役場でもらえます。原本の写しとなり、原本と同じ効力を持っています。つまり、正本があれば不動産登記を変更したり、預貯金を引き出したりといった実務的な行為が可能になります。そのため、遺言執行者を指定している場合はその方に渡しておくと、スムーズに手続きを進めてもらうことができます。

「謄本」は内容の確認のみ

「謄本」も原本作成時に公証役場でもらえます。こちらは本当にただの写しであり効力はなく、一般的に手続き等には使用できません。ただし、正確な内容の把握をするには十分ですので、ご自身の手元には謄本があれば安心です。

再発行もできます

「原本」が公証役場に保管されているため、その写しである正本、謄本はいつでも再発行を依頼できます。失くしてしまった場合は、作成した公証役場に連絡をしましょう。

おわりに

三種類の書類の違いについてお分かりいただけたかと思います。実際に正本・謄本を渡されると、見た目にほぼ同じ書類なので、分からなくなってしまうこともあるかと思います。遺言公正証書を作成された方は、ご自身の手元にある書類を今一度確認してみてはいかがでしょうか。

(文責:川上)