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病院の院長先生の遺言

2021.08.16

ホームページからの遺言書作成のご依頼です。

奥様は先に亡くなっており、お子さんが3人、長男、長女、次女様が相続人です。ご長男様は遺言者様と同様にお医者様で、病院を継ぐことになっていました。

 

病院は、個人事業の場合と医療法人の場合がありますが、今回は前者で、病院に必要な財産は個人の資産であり、相続税の対象になりました。そのため、本来的には相続税対策含め、病院を継ぐ長男に遺産を集中すべきですが、遺言者の意思としてはずっと介護をしてくれていた次女に大半の財産を譲りたいということでした。

 

遺言書は何度でも前の遺言書を破棄して作ることができます。それは亡くなる直前まで気が変わる可能性があり、最終の意思が尊重されるからです。今回のケースでも遺言者の意思を尊重して遺言書を作成し、執行者への指名を受任しましたが、ケースによっては判断が難しいと思うこともあります。

 

余談ですが、遺言者は譲渡制限付きの非上場株式を相当量保有しており、その処分は遺言執行者として弊社がしなければなりませんが、非上場株の売買はある程度以上の規模の会社でないと流動性がほとんどないことが多く、困難が予想されます。純資産での評価の10分の1程度の金額になってしまうこともあります。専門の買取業者もいますが、商事非訟手続きになると時間が掛かるため、相続税の納税がある場合にはかなり急ぐ必要があります。

 

文責:庄田