公正証書遺言の作成費用
2021.05.10
前書き
「公正証書で遺言書を作成する場合、いくら位かかりますか」というご質問をいただくことがあります。
費用がかかるとよく言われる遺言公正証書は、作成費用は所有している財産の額と分配する人数で決まります。
作成時にお持ちの財産を、相続もしくは遺贈する人ごとに以下の表にあてはめて算出します。
公証人手数料
以下は日本公証人連合会のHPより抜粋しました。
目的の価格(分配する金額) | 手数料 |
100万円以下 | 5000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7000円 |
200万円を超え500万円以下 | 11000円 |
500万円を超え1000万円以下 | 17000円 |
1000万円を超え3000万円以下 | 23000円 |
3000万円を超え5000万円以下 | 29000円 |
5000万円を超え1億円以下 | 43000円 |
1億円を超え3億円以下 | 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額 |
3億円を超え10億円以下 | 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額 |
10億円を超える場合 | 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額 |
手数料の算出方法
まずは、ご自身の財産の額を算出してみましょう。不動産は固定資産評価額を基準にして手数料を算出します。毎年送られてくる固定資産税・都市計画税納税通知書中の最新年度の課税明細書を参考にしてください。
①財産の額がわかりましたら、相続もしくは遺贈する人ごとに手数料を計算します。
例えば、ご所有の財産が土地3500万円、建物1000万円、預貯金3000万円を以下のように分けた場合
分配する金額 | 手数料 | |
妻 | 土地3500万円 | 29,000円 |
長男 | 建物1000万円+預貯金1000万円 | 23,000円 |
長女 | 預貯金2000万円 | 23,000円 |
合計 | 75,000円 |
ちなみに、こちらの財産を長男と長女に2分の1ずつ相続させた場合、
長男29000円+長女29000円=58000円 となります。同じ財産額でも相続する人数によって手数料が変わります。
さらに、こちらの手数料に以下の加算があります。
②遺言加算 | 全体の財産が1億円以下のときには、11,000円が加算 |
③遺言書の枚数 | 遺言書の枚数が4枚を超える場合、超える1枚ごとに250円の加算(公証役場に保管する原本の枚数)正本と謄本は250円×ページ数 |
④公証役場に行けない場合 | 公証役場に行くことができず、公証人に出張してもらう場合には、①の手数料の1.5倍(上記の例の場合、112,500円)+公証人の日当+現地までの公証人の交通費 |
⑤証人 | 証人2名分の日当 |
証人は、ご自身で知り合いにお願いする場合には費用はかかりませんが、知り合いに財産の額がわかってしまうのが嫌な場合には公証役場にお願いすることができます。弊社で遺言書作成サポートをご依頼いただいた場合には、証人2名も同行いたします。
実際に計算してみると?
以上の加算をすると、次のようになります。
先程の例で、遺言書が5枚、証人は弊所から同行した場合の公証役場での作成費用は
75,000円(基本料)+11,000円(遺言加算)+2,750円(枚数増)=88,750円 となります。
このほかに実費として、印鑑証明書や戸籍、固定資産評価証明書等の取得費用、弊社で作成のサポートをさせていただいた場合のサポート費用、証人費用などがかかります。
このように、「誰に」「財産をいくら分配するか」を決めれば必要な費用の概算を計算することができます。
(高橋)