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証人欠格者が同席して作成した遺言書の効力

2018.04.03

公正証書遺言を作成する際、民法上有効な証人が2名同席したうえで、更に証人欠格者である遺言者の推定相続人が同席した場合、遺言は無効になってしまうのでしょうか。

 

証人欠格者とは

(証人及び立会人の欠格事由)

民法第974条

次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人になることができない。

一 未成年者

二 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族

二 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

 

一の未成年者は判断能力がないため、証人として認められません。ただし、婚姻している場合には成年擬制が働き、証人になれます。離婚しても変わりません。

二の推定相続人等は、直接的に利害関係があるため、公平性の観点から証人になれません。その時点での推定相続人ですので、例えば遺言者に配偶者と子供がいれば、兄弟姉妹は推定相続人ではありませんので、証人になることが出来ます。

三の公証人の関係者は職務の性質上、不正防止のために証人になれません。

なお、遺言執行者は他の要件に当てはまらなければ証人になることが出来ます。

 

有効性の判例

遺言公正証書作成時、民法上の証人2人の立会いのほかに、遺言の証人となることが出来ないものが同席した場合でも、「この者によって遺言の内容が左右されたり、遺言者が自己の真意に基づいて遺言をすることを妨げられたりするなどの特段の事情の無い限り、当該公正証書遺言は有効である。」とされています。

 

実際の現場では

実際に遺言公正証書を作成される方は高齢の方が多く、中には体の不自由な方もいらっしゃいます。そのような方の場合、お子さんなど親族の方が付き添っていないと不安であったり、会話がスムーズにいかないケースもあります。そのため、公証人が認める場合には作成現場の近くで待機してもらうこともあります。勿論、内容を強要したり、横から口を出すようなことは認められず、あくまで遺言者の気持ちを安らげるためです。とはいえ、後々遺言を強要したなどと争いになる可能性もゼロではありませんので、一人で作成できる場合には別室で待機してもらうのが理想です。