[相続]③内縁者と養子の相続分
2017.04.10
内縁者
内縁(事実婚)の妻(夫)の法定相続分はありません。
内縁の妻は、離婚の場合の財産分与に関しては法律婚の妻とほぼ同じ扱いをされますが、相続に関しては法律上一切相続権がありません。
ただし、次のような場合は一定の保護がみとめられています。
①相続人がまったくいない場合
戸籍上の相続人がいない場合、相続財産は原則として国庫に帰属しますが、被相続人に特別な縁故があった人に相続財産の全部または一部を与えられることがあります。
このような人を特別縁故者といいます。
実際に財産が与えられるかどうかは、家庭裁判所の裁量によりますが、内縁の妻が特別縁故者になる可能性はあります。
実際の手続は、相続人不存在が確定(10ヶ月以上かかります)してから、特別縁故者の審判申立を家庭裁判所にします。
申立をしない場合、または申立をしても家庭裁判所が認めなければ特別縁故者になることはできません。
法定相続人が一人でもいる場合はこの制度は使えないので、相続人がいる場合に内縁の妻に財産を残したい場合は、遺言により遺贈をする以外に方法はありません。
②賃借権
内縁の夫婦が借家に住んでいて、賃貸借契約をしていた配偶者が死亡した場合、遺された内縁の妻(または夫)は、法律上家主との賃貸借契約がないので、家主の要求があれば借家から出て行かなくてはなりません(正式な夫婦であれば、賃借権も相続するので立ち退きをする必要なないのですが)。
これでは、残された妻があまりにかわいそうなので、他の相続人(例えば遠隔地に住んでいる子ども)が相続した賃借権を援用(ある事実を自己の利益のために主張すること)して、住み続けることができます(判例)。
もちろん、借家賃は内縁の妻が払う必要があります。
相続人がいない場合は、借地借家法により賃借権を取得することができます(借地借家法第36条)。
養子
養子には、普通養子と特別養子の2つの種類の養子があります。
一般的に養子と称される普通養子は、親子の血縁関係が無い者が、養子縁組の届出を出すことで、法律上の血縁関係を持ち、血縁関係のある実子と同様の親子関係になる制度です。
養子になれば、相続においても実子と同じ権利・義務があり、相続についても、相続分や遺留分等で実子と同じ扱いを受けます。
普通養子の場合は、養子縁組をし、養子先に行っても、血縁関係の有る実父母との親子関係が失われることはないので、養父母と実父母双方からの相続権を持つことになります。